昨今は「働き方改革」というキーワードがあちこちで聞かれるようになりました。会社員、個人事業主、経営者という形だけではなく、たとえば地方と都心の2拠点で生活をする人、海外とリモートワークをする人など、場所と時間にとらわれずに働く人たちが私の周りにはたくさんいます。会社勤めをしている方も、これから先の人生、どうやって生きていくのかをそれぞれの人が考えてみる1日。そんなイベントに登壇する機会をいただきました。
前日に演目の「めくり」を書く
「めくり」は、寄席などの演芸場で、現在の出演者名を書いた紙製の札のことですね。私の母は習字の先生で、自宅で習字教室を開いておりましたので、小学生の頃は毎週自宅でお習字をしておりました。行書が書けるほどではないので、普通に楷書で書くだけなんですけど。久しぶりに筆の感覚を楽しみました。
落語の寄席で使う高座を舞台にした対談形式で、それぞれの「働き方」について語る
65名の参加者が来場し、会場は満員御礼となりました。
参加者にはウェルカムドリンクとして振る舞い酒(CASEさんのご好意で、なんとおかわり自由です!)、そしてダンボールいっぱいの和歌山産みかんを食べ放題です。
さらにCASE Shinjukuのコワーキーングスペース1日無料券(2,000円相当)とmegane.in のGit入門講座の無料視聴(4,000円相当)が可能ということで、参加費2,000円のイベントにもかかわらず、すでにお得感が満載。
働き方いろいろ、世代も認識もいろいろ
一人目はフリーランスで年間10カ国もの場所で滞在しながら仕事をする清野さん。時差や距離がありますし、クライアントワークをいったいどうやってるの?という話を聞きました。
フリーランスには自分の不安をマネジメントする力が必要になる。不安になるのは人間だから仕方ないけど、考えても仕方がないような不安に付き合い続けてるのは良くない、という話がありました。
いつもふざけているように見える清野さんですが、要所要所でこの人の発する言葉にハッとさせられて我が身を振り返ることが多い私です。本人に言うと調子に乗るから言いませんけども。
フリーランスとアプリメーカーとしての暮らし
クイズを作ってみんなで遊べるプラットフォーム「クイズメーカー」や、みんなで一緒にメモれるサービス「meeemo」など様々なWebサービスやChrome機能拡張を個人的な趣味として(ここがスゴイとこですよね)次々とリリースしている安藤さん。
モチベーションの原動力となっているのは、「こういうものを作ったら、ユーザーは使ってくれるかな」というアイディアを実現化することそのものが楽しいんだそうです。思いもよらない使い方をするユーザーが出現することで爆発的に広まったり、ということもあるそうで。
私が安藤さんに初めて会った時は2014年だった気がするので、たぶん5年くらい前だと思うのですが、その頃からなんというか圧倒的な技術力と行動力がとにかくすごくて、私の中では「雲の上の人」みたいな感じで眺めておりましたが、「お菓子作りが趣味と同じテンションでアプリ作りが趣味」という発言を聞いてうーん、全く次元が違う。とにかく尊敬。これからもスーパーストロングスタイルで爆進してください。また何か作ってくれたら、きっと、絶対使います!!
あと、「勉強のスタイルには向き不向きがある。自分にあったスタイルを選ぶべき。」という言葉にも、深く共感しました。
フリーランス => 会社員になった私から、フリーランスになりたい人・フリーランスになってる人へ
北村 崇さんは、つい最近フリーランスから会社員になったので、その経緯などについてお話いただきました。
デザイン系や技術系のマネージメントが出来る経験豊富なフリーランスの人を求める企業が増えて、いま中高年フリーランサーの就職バブルが起きている!という話題が出ました。長年フリーランスを続けていた人がが会社員になった、という話は私の周りでもチラホラありまして、確かに増えている実感があります。
また、「フリーランスに向いている人は?」という会場からの質問に対して、「フリーランスで働くことは、常に不安との闘い。だから不安になることに対して耐性のある人が向いている」と答えてらっしゃいました。
私が思う北村さんのスゴイところは、人に対して常にフラットなんですよね。これってなかなかできることではなくて、年齢とか立場とか関係なく、緊張せずに話せること。自分の考えをハッキリと言えるところ。(考えてない時は考えてないと言う)現在お勤めの会社は北村さんが最年長とのことでしたが、それでも採用されて周りとうまくやっていけるコツは、そのキャラクターによるところも大きいのかなと感じました。
10~20名規模のリモートワーク企業における働きやすい仕組み
安川さんは東京に拠点を持っていますが、ご自身が経営するYassLab株式会社は半分以上のメンバーが沖縄在住です。そんな中、リモートワークを円滑に実施するために普段からおこなっている様々な工夫についてお話くださいました。
手動でやっていた作業を可能な限り自動化し、会議に参加していないチームメンバーも後から確認できるようにしていたり、外部からの質問メールにも常に文書化したアーカイブを参照すれば解決するようにしていたり、他の会社にも参考になりそうなお話をたくさん聞くことができました。
ふみちゃんねる公開生放送 小説家とWEB
華麗なる文壇デビューを果たしたにも関わらず、その後干されてしまい、自分の小説を世に出すためにWebの仕事を始めたという高橋さん。「やりたいこと」は小説を書くことであるのは常に変わらなくて、「とりあえず稼げて自分にできること」はプログラミングやサイト構築だったわけですが、WordPress業界では名の知れた敏腕エンジニアです。
私個人的にも応援している作家さんで、数年前からいくつか読んでいるのですが、中でも、小説「すばる」に掲載された『pとqには気をつけて』は断然面白いのでおすすめです。短時間で読めますし、読んでる途中で「そうきたか!」と膝を打つこと請け合いです。
YouTube「ふみちゃんねる」で高橋さんが話していることを聞いているだけでも面白くて、「破滅派」の名のとおり破天荒な部分もたしかにあるのですが、すごくきちんとした常識的な人でもあり、飄々とした風貌といい、絶妙なジョークといい、とにかく見ていて飽きない人です。これからも「ふみちゃんファン」として動向を見守り、応援していきます!今後はサスペンス・スリラーを書く予定とのこと。楽しみ〜
会社員、フリー、法人設立、チーム化それぞれのフェーズにおけるお金の話
株式会社テンタスの小泉 智洋さんは、この年末からご自身がクライアントワークに直接関わることをやめたそうです。仕事を取ってくることはしますが、あとは社員に任せることにしたということ。会社が成長し、変化してくると、社長は最終的に現場から離れて、それ以外の部分を考える方に徹していくのでしょうかね、やっぱり。
会社のコアメンバーは、それぞれが自分の会社を持っていてやりたい方向がバラバラという点が驚きでした。それでも、うまくやっていく秘訣はなんなのでしょうか?次回お会いすることができたら、もう少し深く掘り下げて、直接お聞きしてみたいです。
リモートワークどうしたらうまくいくのか奮闘記。-互いの距離感を揃えるために-
多言語CMS Drupalカスタマイズ・開発・保守 などを展開するANNAI(株)の太田垣さんは、最近になって、チーム全体をリモートワーク主体にされたそうです。会議をする場合には全員がオンライン状態にするのがポイントだという話は、私も実感として感じており、数人が会議室に集まっているところに、オンラインを繋ぐと、意思疎通がうまくいかなくなってしまいますね。オフラインなら全員オフライン、オンラインなら全員がオンラインにする方がいい、というのは確かに!と思いました。
それにしても、太田垣さんは人前でお話するのが上手ですねー!!
合間に笑いをとりながら、聴衆を惹きつけることができるのは、生まれ持ったものなのか?場数を踏むことによって得られるテクニックなのでしょうか。
主婦とフリーランス 講師時々配達員? 飽きっぽい私の最近の注目事
長丁場の対談が続き、そろそろお客さんも疲れが出てきた頃。
UberEatsのバッグを背負って、登場しました。参加者全員にアイスを配って食べながらの私の出番です。
フリーランスから経営者へ。組織を作り育てていく上で考えること
最後のセッションはこちら。コンクリートファイブジャパン株式会社の菱川 拓郎さんです。
今日登壇したフリーランスの人・会社経営者は、(私を除いて)ほぼ全員キャラが濃くていい意味で「ぶっ飛んだ」人ばかりだった気がしますが、最後の最後で、なんというか、「安心できる」「ちゃんとした」人が登場しました。(すみません)
やるべきことを、きちんと堅実に行いながら、「クライアントワークが好きだし、依頼者が喜んでくれることが嬉しい」と語る菱川さん。
はあぁ。制作者の鏡!!
「打ち合わせには人生が詰まっている」という言葉が響きました。いろんなめんどくさいこともひっくるめて、それでも「打ち合わせするの楽しいよね」って言えるのってすごいことだなと思う。
みんな違ってみんないい
フリーランスも会社員も、リモートワークをしてる人もしてない人も、みんなそれぞれが、それぞれの思いで仕事をしていることを垣間見ることで、自分の場合はどうかな?と振り返ったり、これからどうしようかな?ということを考える1日になったでしょうか。
参加者一人一人に聞いてみないとそれはわかりませんが、帰り際にある人から「今の会社の中で、求められているポジションがあるんだけど、たとえ苦手なものだと自分が思っても、とりあえずチャレンジしてみようかなあと思いました」と言っていただけたのが、この日一番嬉しかった瞬間でした。
(追記)
その後ご本人がブログ記事を書かれていましたので、リンクを貼っておきます。
「Webに関わる人の様々な働き方」megane Fes 2019 新春イベントに行ってきました」|高野直子
もうひとつ、mimiさんのブログ記事はこちら。
メガネフェス2019新春にいってきました|photosynthesic
私自身の感想
今日は働き方というよりも、「不安と向き合う」ということについて考えるきっかけになった気がします。
私は元来図太くて打たれ強い人間だと信じてきたんですけれども、、、自分にはできないようなスゴイことをしている人に会うと、自分自身を卑下してしまうことが時々あって、改めてそのことについて考えました。「あの人は私と全く違うから、気にしない。むしろ素直に尊敬できる!」と思える時もあるし、「あの人に比べて私なんて、、、」とネガティブモードになることも。
この違いはどこから来るんだろう?
そのことについては、また追い追い考えていきたいと思います。
今日は複数の人から「自分自身の不安とどう向き合うか」という話題がありましたので、このことについて誰かとゆっくり話してみたいなー。